基本情報技術者資格を取得する必要はあるのか?

お疲れ様です。

表題の件について1枠いただき、私の意見を投稿させていただきました。

 

■はじめに

"必要はあるのか?"と題名をつけていますが、これから記載する内容は"必要である"ことを前提としています。
同資格の取得を推奨する会社の方針を否とするものではありません。
しかし、会社で唯一取得を命じられている資格でありながら、どうして取得しなければならないのか?取得することでどのようなことに役立つのか?等、
基本情報技術者資格を取得する・しなければならない理由について、説明や考えの提示を受けた覚えが無いので、私の考えを示すため、このような題名と致しました。
主にスキルアップ・成長を望む新人各位に向けた内容を意識しています。

以降、基本情報技術者資格を取得する必要がある理由について記載していきます。
私の経験、主観に基づくものですので、皆さんの認識とは異なるものが多々あるとは思います。これを機に皆さんの考えも聞いてみたいですね。

注①:前置きがかな~り長いかもしれません。(長いです。)
注②:説明のため、ある程度断定的な言い回しを使っています。

 

■1.この業界は少しおかしい

 この業界では、専門の技術者として働くにあたり、免許や資格が求められない。
 医者なら医師免許、教師なら教員免許、電気工事をする人も電気工事士や、主任技術士的な資格が必要となるが、ITの専門技術者たる我々にはそれが無い。
 先人の方々が積み重ねた信頼の元、未経験者の参画が容認されるシステムを否定することは出来ないが、良いことだとは言えない。
 もちろん未経験者を批難したいわけではない。最初から経験のある人などいないから。
 ただ、誰もがはじめは未経験者であるが、仕事に携わるに当たり、社会人としてIT技術者として、事前準備学習は当たり前にやっておくべきことだろう。
 
 しかし、参画する現場を選ぶことが出来ないのも事実。(一部の例外は、それが出来るだけの経験と実績がある方のみ)
 
 特に新人各位は、研修終了後にわけもわからず面談を受け、(多くの場合)面談の内容に関わらず次の日には参画現場と日にちが決まっていたなんてことが多いのではないだろうか?
 (準備学習などする時間も無く、来週からは○○の現場だ!みたいな)
 
 現場に参画したらしたで、割り振られる仕事や現場独自のルール、人間関係等に忙殺され、慣れた頃には"ある程度~一人前の経験者"になっているかも知れない。
 
 では"ある程度"と"一人前"を分ける要因はどこにあるのか?
 (この疑問への私なりの回答は、後の方に記載します。)
 
■2.見て学ぶ、聞いて学ぶなんて事は出来るのか?

 我々の業界に限らず、会社組織に属する以上、後輩指導は義務である。
 しかし、現場で作成・まとめられている工数表に、新任者への業務説明・指導 と言う項目は無い。(どこかにはあるのかな?)
 
 教える側にも当然自分の仕事がある以上、教えることに注力するだけ、自分の仕事に費やせる時間が圧迫される。
 そこで新人各位には、見て学ぶこと、聞いて学ぶことを求められることが多いのではないだろうか?
 (私も以前、見て・聞いて学ぶことについて後輩に向けて言った覚えがある)
 作業の様子を横で見させて学ばせる。定例会・検討会等に参加させて議事録等を取らせながら、やり取りの内容を聞かせて学ばせる。 等
 
 だが、まったく見聞きしたことの無いこといついて、見て・聞いて学ぶことなど出来るのだろうか?
 もちろん先輩方が都度説明を加え、フォローすれば可能となるだろうが、多大な労力を要するだろう
 
 学ぶことを分解すると以下のようになると(現時点の私は)思う。
  理解←試行錯誤の末の気付き←調査(先達からの教え、参考資料の熟読)←疑問の提示←気付き
  理解→新たな気付き↑
 
 疑問に思ったことはすぐ質問するように!まず自分で調べる癖をつけるように!
 新人各位は似たようなことを一度は言われたことがあるのではないだろうか?
 
 疑問に思ったことを調べ、教えられ理解することで、学んでいくことができるが、そもそも疑問に思うきっかけを持てなければ、学ぶサイクルは始まらない。
 このきっかけが多いほど、多くのことを学んでいけると私は思う。

■3.師匠の言葉とこの業界プロとしての心構え

 「提案することができないなら、君がいる価値は無い」
 細かなところまで覚えていないが、このようなニュアンスの言葉であったと思う。
 私が3年目くらいの頃だった気がするが、勝手に師匠と思っている方から受けた言葉で、今までの仕事の基本になっている言葉である。
 
 我々が携わる業務は、元受会社のマネージャーの下、受注された業務に作業者として従事することが大半となっている。
 この場合、我々に決定権は無い。エンドユーザーに当たるお客様と検討して決定する権限も責任も持ってはいない。
 ただ、業務に携わる者として自分の意見を持ち、改善策、対応策を提案できないのであれば、他の誰であってもかまわないだろう。(私や貴方である必要は無い)
 (毎月各位が受け取っている数倍(言い過ぎか?)の金額を支払っているのだから)
 
 意見・提案を受け入れず、その理由説明も無いはアンフェアだが、自分の意見も持たず、提案もせずに不平・不満を言うのもフェアじゃない。
 皆さんには自分の意見を持つことを心掛けて欲しい。
 
 だが、自分の意見を持ち、提案するためには、対象について理解していることが前提となる。
 理解については、先に記載したとおり、対象について学ぶサイクルを終えておかなければならない。
 
■4.まとめと主題

 これまで記載してきたとおり、私が重きを置くのは"提案できること"にある。
 高いスキル・経験を持つ人は例外なく提案ができる。
 先に記載した、"ある程度"と"一人前"を分ける要因はここにあると考えている。
 
 提案するためには、対象について理解していなければならない。現実的には対象を取り巻く周りの状況についても考慮する必要があるだろう。
 理解するためには、多くの試行錯誤・調査の繰り返しが必要で、その為には疑問を持つ・きっかけが必要となる。
 上司、先輩からの指示、業務指導が主なきっかけとなるが、提案にいたるための"きっかけ"には指示されたことだけでは足りない。
 なぜなら多くの場合、指示された範囲での気付き・理解は、指示した人が既に気付き・理解しているから。
 
 多くを学ぶにはそれ以外の"きっかけ"が必要となってくる。
 そのきっかけはさまざまだが、特別なことをせずとも、身近に存在するものもある。
 
 デスクの周りで、会議の場で、出張先等で、気付かず見逃し、聞き逃していることは無いだろうか?
 知らないことには気付けない。わからない(わかっていない)ことがわからない。
 知らず知らず学ぶ機会、"きっかけ"を逃していないだろうか。
 
 前置きが長くなった。主題に戻りたい。
 
 基本情報技術者資格
 
 私はこの資格・試験を学ぶサイクルの最初。きっかけ作りに役立てられると考えている。
 この資格試験は、この業界の業務に関わる内容を広く網羅している。ちゃんと準備学習すれば、浅くはあるが、広い知識に触れることが出来る。
 
 この資格試験について、きちんと学習すれば、これまで知らず知らず見逃してきたこと、聞き逃してきたことに気付く足がかりになると思う。
 
 この業界でスキルアップ・成長を望むなら、この資格を取得することは意味のあることだと思う。
 
■5.最後に別の観点から
 
 これまでは、成長を望む新人(若手)向けに基本情報技術者資格(試験)を勧める理由について記載してきた。
 ここで終えても良いのだが、最後に少し厳しい言葉で別の観点から、取得すべき理由を述べておきたいと思う。
 ※私は経営者ではないので、多分に想像を含みます。事実と異なることがあるかも知れませんが、ご了承ください。
 
 基本情報技術者資格の取得は義務である。
 
 会社は新人各位の入社に際し、専門分野の学歴も、特定の資格の取得も、実務(に類する)経験も求めていない。
 これは数年後に戦力として活躍してくれるリターンを見越して、入社後の研修と、現場での教育を数年かけて行うという投資を前提としているからだ。
 一人前に仕事をこなすのは一朝一夕で出来ることではない。どんなに短くても2,3年はかかるだろう。
 すぐにリターンは返せない。これは仕方が無い。だが、ならせめて会社の指示する"基本的な"資格くらいは取っておくべきではないか?
 
 会社に属する限りのこの資格試験からは逃れられない。
 
 腹を決めて試験勉強に注力し、半年に1回のIPAへのお布施は次回で最後にしてみてはどうだろうか。